世界の物流施設・倉庫テック 週次ニュース
今週のキーワードは「Physical AIの量産受注フェーズ」「ヒューマノイド×大手製造パートナー」「ピッキング最後の砦が崩れる」「倉庫の外側への自律化拡張」。LightwheelのQ1約1億ドル受注、Doozyの2億ドル超パイプライン、Bosch×Humanoidの製造委託契約と、Physical AIが「研究」から「量産受注」へ一気に移行する数字が並んだ一週間でした。
今週のニュース
1川崎重工、Silicon Valley Physical AI Center開設
サンノゼに新拠点を開所し、NVIDIA・Microsoft・Analog Devices・富士通と共同で物理AIを開発。サービスロボット「Nyokkey」、配送ロボット「Forro」、手術ロボット「hinotori」、多脚「Corleo」に統合する計画で、日系大手の本格的なフィジカルAI戦略が顕在化。
2英Humanoid、Boschと製造パートナーシップ締結
Boschドイツ・ビュール工場での物流PoC(5種類の異なる箱の自律ハンドリング)が成功し、欧州向け「HMND 01」のコントラクトマニュファクチャリングを正式委託。ヒューマノイドが「量産パートナーシップ」フェーズへ突入した象徴事案。
3Parallel Systems、自律バッテリー貨物列車に1億ドル調達
元SpaceXのMatt Soule創業。ジョージア州サバナ港〜コーデール間160マイルでGenesee & Wyoming社とFRA監督下の商用試験中。米貨物9,000億ドル市場のうち短距離ドレージ領域を狙う。倉庫の外側=「アウトバウンド輸送」の自律化が射程に。
4Geekplus、ゼロショットAIピッキングでRBR50を5度目受賞
Schneider Electric上海拠点に導入したロボットアームピッキングがスループット2倍・精度99.99%以上・48時間で本番稼働。Geek+ Brain基盤モデル+既存AMRの一体運用で、ピッキングの「最後の壁」が崩れ始めた。
5Boston Dynamics、Atlasに約100ポンドの洗濯機・冷蔵庫運搬を学習
強化学習+全身協調+GPU上で数百万時間の並列シミュレーションを用い、「1日で新動作の訓練・実機展開」を志向。Tesla・Figure・Agility・1Xとの全身ヒューマノイド競争が、倉庫・工場の重物ハンドリングに直結。
6Doozy Robotics、シンガポール発のヒューマノイドRaaSがUS・GCC・アジア同時展開
「Industrial Super Humanoid」(Q3 2026ローンチ予定)・AMR・自律フォークリフトを「Eywa-OS」で統合。累計2億ドル超のパイプライン、1.44億ドルの単一契約も締結済み。Daimler・Carrier・VitaQuestが顧客。RaaSの本命形が見えてきた。
7Locus Robotics、Nexera Roboticsを買収
カナダ・バンクーバー拠点でロボティックグラスピングに特化するNexeraを取得。AMR大手のLocusがピッキング機能を内製化する戦略買収で、「AMR+アーム」スタック競争が本格化。
8Lightwheel、2026Q1の受注が約1億ドル
Physical AIロボティクスインフラ領域でQ1単体100M$受注を確保。同社は「ロボティクスが実験段階から本格量産投入へ移行する業界全体のシフト」と分析。Physical AIが「商談化フェーズ」に入ったことを示す象徴的な数字。
9Plus One Robotics、AIパーセル誘導の8時間ライブ稼働を世界配信
19,784ピック・2,488ピック/時・平均1.45秒/個を達成。950人以上が視聴。短編映像中心の業界に対し、稼働実績を透明性高く晒す異例の取り組み。「動画で見せる」から「ライブで見せる」へ。
10OLO Robotics、コマーシャルローンチ+3つの国際パートナーシップ
中国Deep Robotics・独inMotion Robotic・ポーランドFiction Labと提携。ブラウザベースのROS2クラウドシミュレーション+AI支援コーディング+sim-to-real展開で、ROS2専門知識のない現場ソフトウェアチームでもロボットを動かせる時代へ。
11Dexory、欧米で同時拡大 — Romark Logistics(米PA)+Seacon Logistics(オランダ90,000㎡×2拠点)
AI倉庫可視化プラットフォーム「DexoryView」が3PL大手の在庫管理リアルタイム化を実現。WES/在庫可視化レイヤーの覇権争いが欧米で同時進行中。
Tomo's Take
- LightwheelのQ1 100M$、Doozyの2億ドル超パイプライン、Bosch×Humanoidの量産委託、Geekplusのゼロショット導入。「Physical AIは商談化フェーズに移行した」と言える数値が一気に並んだ週。GWESも「現場でROIを出す物流OS」として、研究的要素から実装的価値証明へさらに軸足を移すべきタイミング。
- ピッキングの「最後の砦」が崩れ始めた。Geekplusのゼロショット導入(精度99.99%・48時間立ち上げ)とLocusのNexera買収は、「AMR+アーム+AI」が単一スタックに統合される流れを示す。今後はWES側がそのスタック横断の最適化レイヤーとして真価を問われる。
- 川崎のSilicon Valley拠点は、日本のハードウェア勢が「シリコンバレー型Physical AIエコシステム形成」に本気で乗り出した初の象徴事案。GROUNDの「Tokyo Physical AI」戦略との接続点が広がり、国内大手・海外ハイテク・物流現場の三角形を描く好機。
- 自律化はもはや「倉庫内」では終わらない。Parallel Systemsの自律貨物列車1億ドル調達、Dexoryの欧米同時展開、Plus Oneの8時間稼働ライブ配信。「現場稼働の透明性」と「倉庫の外側まで含めたフロー全体の自律化」が次のフロンティアになる。