GROUND GROUND
Warehouse Tech Weekly
VOL. 18 2026.08.30

世界の物流施設テック 週次ニュース

Global Warehouse & Logistics Tech Digest

対象期間 2026年8月24日〜8月30日 Written by Tomo Miyata

今週は、ロボットを増やす話ではなく、増やしたロボットに何をさせるかを決める話を選んだ。

Amazonが配送拠点を作り直そうとしている。物流施設で商品を保管し、注文どおりに集めて箱に詰めるところまでは、同社が10年以上かけて自動化してきた。残っているのはその先だ。届いた荷物を配送ルートごとに仕分け、積む順番に並べ、配送車に渡す。ヨーロッパの配送拠点では、荷物が着いてから出ていくまでに約40の工程があると同社は説明している。これらの工程が自動化しにくいのは、扱うものが毎日変わるからだ。荷物の大きさも、宛先も、ルートも、車両も、出発時刻も一定しない。だから機械に任せにくく、人が手で動かしてきた。

社内の計画文書によれば、新しい設計は既存の配送拠点の約2.5倍の速さで荷物を処理するという。ただしAmazonは、文書にある投資額と時期はいまの計画を反映していないと述べている。大事なのは金額ではなく、ここで解こうとしている問題が何かである。ロボットが荷物を持ち上げられるかではない。何千個もの大きさの違う荷物を、いまどこに置き、いつ取り出し、どの順番で積み場所へ送るか。そして運行計画が変わったとき、その順番をどう組み替えるか。これは機械の問題ではなく、決める仕組みの問題だ。

英Ocado Groupで移動ロボット事業を率いるMike Harris氏は、同じことを別の言い方で書いている。物流施設に足りないのは技術ではなく、つながった判断だという。ロボットが速く拾っても、その荷物が乗るはずのパレットがまだ荷受場で待っていれば意味がない。ピッキング、補充、返品、仕分け、出荷を、一つの施設のなかにある五つの別々の工程としてではなく、前の工程の結果が次の工程の指示に反映される形で動かせるかどうかで成果が決まる、と書いている。

スイスのSwisslogは、買う前の話をしている。設備を選ぶ前に、自社の過去の注文の中身、品目ごとの出荷頻度、在庫量、繁忙期の山を数字で押さえろという。平均的な一日を前提に設計すると、実際の運用とはまったく違う結果になる。だから注文の中身が変わったとき、複数の販路を同時にさばくときに何が起きるかを、発注する前に確かめておけと同社は言う。

ロボット側も、できることとできないことをはっきり言うようになった。米Locus Roboticsで把持技術を統括するRoy Belak氏によれば、物流施設の作業では吸着で60〜70%は足りる。難しいのは残りの30〜40%だ。そして測るべきは1時間あたり何個拾えたかではなく、拾い方の質だという。商品を傷つけたか、二つ同時に拾ってしまったか、違うものを拾ったか。これらはカタログの性能値には出ないが、費用にはすぐ効いてくる。

値段のほうは下がっている。JPMorganは、ヒューマノイドを1時間動かす費用が10ドルを下回りつつあるとみている。物流施設の作業者は1時間あたり約30ドルである。ただし、買えるかどうかは別の話になった。米FCCは海外製のヒューマノイドと四足歩行ロボットを規制リストに加え、新規の輸入を止めた。世界のヒューマノイド市場の約85%は中国製である。

つまり、ロボットは安くなるが、どこから買えるかは政治で変わる。設備の選定と調達は、これからも読みにくいままだ。それに対して、自分の施設のどこで何が待っているかを把握し、メーカーの違う機械と人の作業に順番と行き先を指示する仕組みは、外の事情では変わらない。この仕組みを持たずに機械だけ増やせば、Ocadoが書いているとおり、詰まる場所が移るだけになる。速く拾えるようになった分、荷物は次の工程の前で待つ。Amazonが配送拠点で解こうとしているのも、Ocadoが判断のつながりと呼んでいるのも、Swisslogが設備より先に自社のデータで確かめろと言っているのも、この仕組みを前提にした話である。

GROUNDのGWESは、この指示を出す機能を製品の中心に据えている。あとから他社のソフトをつなぎ合わせたものではない。日本の物流施設は世界でいちばん人手が足りない。扱う品目が多く、複数の作業の流れが同じ場所で入り混じる。だから、機械を増やすより先にこの仕組みを持つかどうかで生産性が変わると考えている。

GROUND Inc. — Founder & CEO 宮田 啓友

今週のニュース

Five stories
01 Lead story
コンベア上を流れる段ボール箱
配送拠点では、届いた荷物を配送ルートごとに仕分け、積む順番に並べ、配送車に渡す。Photo: Unsplash

物流OS・意思決定米国

Amazon —「Project Tetromino」、配送拠点で荷物の置き場所と取り出す順番を機械に決めさせる

Amazonが配送拠点向けの新しい設計を社内で「Project Tetromino」と呼んで開発していると、Business Insiderが報じ、Logistics Viewpointsが内容を整理した。配送拠点は、物流施設と幹線輸送を経た荷物を受け取り、配送ルートごとに仕分け、順番を決めて並べ、配送員に引き渡す場所である。Amazonによれば、ヨーロッパの配送拠点では荷物の到着から発送までに約40の工程がある。同社はヨーロッパの配送拠点の技術に7億ユーロ超を投じてきた。

物流施設の側には、AIとロボットによる自動化が10年以上かけて入ってきた。配送拠点が遅れたのは、扱うものが一定しないからだ。荷物の大きさ、宛先、ルート、車両、出発時刻が毎日変わる。社内の計画文書によれば、新しい設計は既存の配送拠点の約2.5倍の速さで荷物を処理する。文書には1億300万ドルの初期実証を含む投資計画も記されていた。ただしAmazonはBusiness Insiderに対し、Tetrominoは初期段階の構想であり、文書の金額と時期はいまの計画を反映していないと述べている。

解こうとしている問題は、ロボットが荷物を持ち上げられるかではない。何千個もの大きさの違う荷物を、いまどこに置き、いつ取り出し、数百本の配送ルートに対してどの順番で積み場所へ送るか。そして運行計画が変わったときに、その順番をどう組み替えるか。関連して評価されている技術の一つが、自動保管と、仕分け・順序付け・取り出しのソフトを組み合わせるBoxbotのものだ。Boxbotは車両への積み込みで最大10倍の改善を掲げている(同社自身の数値であり、Amazonの見込みではない)。不揃いな荷物の積み下ろしは、FedExがDexterity AIと取り組んでいる領域でもある。

出典 Logistics Viewpoints / 2026.08.25

物流施設内の自動コンベアシステムを確認するオペレーター
Photo: Unsplash
02

論考オーケストレーション英国

Ocado —「物流施設に足りないのは技術ではなく、つながった判断である」

英Ocado Groupで移動ロボット事業を率いるMike Harris氏の寄稿。同社はオンラインスーパーの運営で培った自動化技術を外部にも売っている。同氏は、移動ロボット(AMR)が歩行を減らしてピッキングの生産性を上げることはすでに証明されたが、それは課題の一部でしかないと書く。注文、人員、混雑、例外処理は別々には最適化できない。ピッキング、補充、返品、仕分け、出荷は、一つの施設のなかにある五つの別々の工程としてではなく、前の工程の結果が次の工程の指示に反映される形で動かす必要があるという。

判断がシステムと担当ごとに分かれたままだと、自動化は詰まる場所を移すだけになる。ロボットが速く拾っても、その荷物が乗るはずのパレットがまだ荷受場で待っていれば効果は小さい。例外処理の案件が担当者の作業リストに残ったままでも同じだ。同社のOcado IQは、注文の緊急度、ピッキング場所、使える人員、作業量、混雑を継続的に評価し、状況が変われば作業をまとめ直し、優先順位を付け替え、割り当てを変える。ロボットに次にどこへ行くかを指示するのではなく、現場が次に何をすべきかを決める。

台数の考え方も三層に分けている。日常の基準を担う常用機、月曜の立ち上がりや販促のような通常の山に短期で投入する機体、Black Fridayのように計画できる繁忙期に季節単位で追加する機体である。同社は自社の移動ロボットについて、手押し台車によるピッキングの2〜3倍の生産性、人件費は最大50%削減、稼働開始まで最短14週、投資回収6か月とし、これまで120か所超に導入されているとしている。

出典 Logistics Business / 2026.08.25

自動化機器が並ぶ大規模な物流施設の内部
Photo: Unsplash
03

設計・調達スイス/豪州・NZ

Swisslog —「設備を選ぶ前に、自社の運用データで設計せよ」

スイスに本社を置く物流自動化のSwisslogが、オーストラリアとニュージーランドの顧客向けに出した見解。同社は産業用ロボット大手KUKAグループの一員で、AutoStoreなどの自動保管設備の導入と、SynQという統合・オーケストレーション用のソフトを手がける。営業責任者のSteve Dimitrovski氏は、自動化は大きな投資であり、稼働初日に何ができるかだけを見てはいけないと述べる。

設計に使うべきものとして挙げているのは、過去の注文の中身、品目ごとの出荷頻度、在庫量、繁忙期の山、そして今後の要件の変化である。「平均的な一日を前提に設計すると、実際の運用とはまったく違う結果になる」。注文量が増えたとき、注文の中身が変わったとき、複数の販路を同時にさばくときに何が起きるかを理解しておく必要があるという。設備を発注する前にシミュレーションで詰まる場所を見つけること、拡張を後付けにせず最初から設計に入れておくことも挙げている。

提案書の比べ方についても述べている。「二つの提案書は紙の上ではよく似て見えるが、その裏にある設計の深さはまったく違うことがある」。問うべきは、どのデータを使ったか、どの条件で検証したか、制約はどこにあるか、将来どう拡張できるかだという。

出典 Australian Manufacturing / 2026.08.26

産業用機械が並ぶ工場の生産ライン
Photo: Unsplash
04

ロボットピッキング米国/カナダ

Locus Robotics — 吸着で60〜70%、残りが難しい。測るべきは速さではなく拾い方の質

米Locus RoboticsがカナダのNexera Roboticsを買収し、同社の柔らかいグリッパー技術NeuraGraspを自社の移動型ピッキングロボットArrayに載せる。Locusは物流施設向けの移動ロボットを手がけ、その機体はこれまでに60億回を超えるピッキングに使われてきた。ArrayはLocusが2025年3月に発表した、視覚で位置を合わせるアームを備えた移動ロボットである。Nexeraは買収前に6世代以上の試作を重ねていた。Arrayにはもともと空気と電源の供給があり、Nexeraの技術を組み込めた。

NexeraのCEOだったRoy Belak氏は、現在Locusで把持技術を統括する。同氏によれば、ロボットの把持技術は、吸着と挟み込みを両端とする幅のなかにある。「物流施設の作業では吸着はとてもよく効く。60〜70%はそれで足りる。難しいのは残りの30〜40%だ」。NeuraGraspは吸着と挟み込みの両方を使う。挟み込みは将来の中心になるとみられているが、複雑になるほど信頼性が落ちるという。

優先するのは速さではないと明言している。「ピッキングは、その質を理解しないまま投資回収の話ばかりしてきた分野だ。1時間に何個拾えるとは言えても、その拾い方がどれだけ良いかは見られていない」。見るべきは、商品を傷つけていないか、二つ同時に拾っていないか、違うものを拾っていないかだという。これらはカタログの性能値には出ないが、顧客の費用をすぐに押し上げる。残る課題として同氏が挙げるのは、挟み込みを判断するAIと、繰り返し使っても劣化しない触覚である。触覚はシミュレーションで作ったデータでは解けないとみている。

出典 The Robot Report / 2026.08.28

黒い背景の前に立つ白いヒューマノイドロボット
Photo: Unsplash
05

市場・規制米国/中国

JPMorgan — ヒューマノイドの稼働費が1時間10ドルを下回る一方、米国は海外製の輸入を止めた

JPMorganが、米国の製造業でヒューマノイドの需要が急増するとの見方を示した。MarketWatchが伝えたところによれば、ヒューマノイドを1時間稼働させる費用が10ドルを下回りつつあるという。物流施設の作業者は1時間あたり約30ドルである。同行は、求人が埋まらない米国の製造業をヒューマノイドが埋める領域とみている。

一方で、調達の条件が変わった。米FCCは海外製のヒューマノイドと四足歩行ロボットを規制リスト(Covered List)に加え、安全保障を理由に新規の輸入を止めた。対象は中国であり、世界のヒューマノイド市場の約85%を中国メーカーが占める。中国外務省の毛寧報道官は「保護主義は米国の競争力を高めず、米国の企業と消費者の利益を損なうだけだ」と述べ、必要なあらゆる措置を取るとした。

台数の実態は次のとおりである。調査会社Omdiaによれば2025年の世界のヒューマノイド出荷は約1万5,000台。中国のUnitreeとAGIBOTがそれぞれ5,000台超を出荷し、米国のTeslaとFigure AIはそれぞれ数百台だった。Unitreeは今月、上海の科創板(STAR Market)に上場し、初日の終値が公開価格を460%上回って時価総額は約500億ドルとなった。調達額は約61億元(約9億500万ドル)。2025年の売上高は17億元で、前年の3億9,277万元から大きく増えた。純利益は2億7,821万元、主力事業の売上の約44%が海外向けだった。

出典 Quartz / 2026.08.25

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