GROUND GROUND
Warehouse Tech Weekly
VOL. 23 2026.10.04

世界の物流施設テック 週次ニュース

Global Warehouse & Logistics Tech Digest

対象期間 2026年9月28日〜10月4日 Written by Tomo Miyata

今週は、ロボットそのものより、ロボットと人にどう仕事を割り振るかという話を中心に5本を選んだ。

1本目は米国の新興企業Destro AIだ。9月30日に800万ドルを調達した。ロボットは自社で製造せず、ロボットと作業員の両方に「次に何をするか」を指示するソフトを手がけている。最初に導入したのは郵船ロジスティクスで、米国拠点のクロスドック作業に使っている。

作業員がトラックから降ろした荷物を方面別のカートに積み、カートが一杯になると、ロボットがそのカートを出荷側のトラックまで運ぶ。誰が何をするか、どのカートをどのトラックに割り当てるかは、すべてDestroのソフトが決めている。郵船ロジスティクスは、ロボットを手がけるベンチャー2社も検討した。ところが1社はカートを運べても積み降ろしまでは管理できず、もう1社は作業の割り振りを人が担う必要があった。工程全体に指示を出せることが決め手となってDestroが選ばれ、ロボットは3台から26台に増える。

英国のEC物流代行THG Fulfilの数字を見ると、機械に指示を出すソフトの効果が分かる。自社の物流網でAutoStoreのロボット796台を動かし、自前のWCSで制御している。ポートに届くビンは1時間に1万1,000個を超え、作業者がビンを待つ時間は平均78%減ったという。

一つのソフトで指示を出す範囲を、複数の拠点に広げる動きもある。米国の3PL、Barrett Distribution Centersは2027年から、UNIT AIのソフトで複数拠点の在庫、出荷、返品をまとめて管理する。どの拠点にどの商品を置き、返品をどこで受けるかを、拠点ごとではなくネットワーク全体で決めるという。

ロボットの数そのものも急速に増えている。IDCによれば、2026年上半期のヒューマノイドの世界出荷は約2万5,000台と、前年同期の5倍を超えた。台数が増えれば、使う側の責任も重くなる。米国の業界団体A3は10月2日、移動ロボットの安全規格の第3部を発行した。ユーザー企業に対し、手順や設備を変えるときの管理、従業員教育、定期点検を求めている。

ロボットやパーツは、これからも安くなる。差がつくのは、メーカーの違う機械と人に、一つのソフトで作業の順番と行き先を指示できるかどうかだ。加えて、AIに任せる判断と人が下す判断の境目を、運用する側がはっきり決めているかどうかも問われる。機械と人に一つのソフトで指示を出す仕組みがないまま機械だけを増やせば、誰かが次の作業を割り振るまで、荷物は機械の間で待つことになる。郵船ロジスティクスが見送った2社の製品は、いずれも工程の一部を人が補う必要があった。GROUNDのGWESは、機械と人に指示を出すこと、AIと人の判断の境目を決めることを製品の中心に据えており、他社のソフトを後からつなぎ合わせたものではない。日本の物流施設は人手不足が深刻で、多品種の荷物が混ざって流れるのが当たり前だ。だからこそ、この仕組みがあるかないかで生産性に差がつくと私は考えている。

GROUND Inc. — Founder & CEO 宮田 啓友

今週のニュース

Five stories
01 Lead story
パレットが並ぶ物流施設内を走行するフォークリフト
物流施設内で荷物を運ぶ車両(イメージ)。Photo: Unsplash

物流OSオーケストレーション米国

Destro AI — 作業員とロボットに一つのソフトで指示を出し、クロスドックを省力化

米新興企業のDestro AIは9月30日、800万ドルのシード資金を調達したと発表した。ロボットは自社で製造せず、ロボットと作業員の両方に作業を指示するソフトを開発している。創業者のManthan Pawar氏は「ロボット企業に勝てている最大の理由は、私たちがロボット企業ではないことだ」と話す。

最初に導入したのは郵船ロジスティクスで、米国北西部にある拠点のクロスドック作業に使っている。作業員がトラックから降ろした荷物を方面別のカートに積むと、米Miva Robotics製の搬送ロボット3台が満載のカートを見つけ、出荷側のトラックまで運ぶ。作業員とロボットへの指示、カートとトラックの割り当ては、Destroのソフト「Mothership」が行う。

郵船ロジスティクスはロボットを手がけるベンチャー2社も検討したが、1社はカートを運べても積み降ろしを管理できず、もう1社は作業の割り振りを人が担う必要があった。同拠点のロボットは26台に増え、南カリフォルニアの拠点でも17台での試験導入が始まる。郵船ロジスティクスの米国事業で自動化を統括するRichard Brunelle氏は「紙の作業がなくなり、すべてがシステムで動くようになった」と話す。

出典 TechCrunch / 2026.09.30

自動化機器が並ぶ大規模な物流施設の内部
Photo: Unsplash
02

WCSRaaS英国

THG Fulfil — AutoStoreのロボット796台を自社WCSで制御し、ビン待ち時間を78%短縮

英国のEC物流代行THG Fulfilは10月2日、AutoStoreとの販売代理店契約を拡大したと発表した。これまではRaaS方式でしか提供していなかったが、今後は顧客が買い取りも選べるようになり、両方を組み合わせることもできる。THG Fulfilは、英EC大手THGの技術部門が運営している。

THG Fulfilは自社の物流網でAutoStoreのロボット796台を運用し、自社開発のWCSで制御している。ポートに届くビンは1時間あたり1万1,000個を超え、作業者のビン待ち時間は平均78%短くなったという。英国のスポーツウェア小売Footasylum向けには、ロボット85台、ビン9万6,000個超を収容するシステムを構築した。THGの技術部門で事業運営を統括するTom Killeen氏は「自動化を進めるからといって、ブランドが設備を自社で持つか、手元資金を守るかの二者択一を迫られる必要はない」と話す。

出典 Robotics & Automation News / 2026.10.02

コンベア上を流れる段ボール箱
Photo: Unsplash
03

3PL複数拠点の最適化米国

Barrett Distribution Centers — 2027年から複数拠点の在庫、出荷、返品を一つのソフトで管理

米国の3PL、Barrett Distribution Centersは10月1日、UNIT AIとの提携を拡大し、2027年からUNIT AIのソフトを全米の拠点に導入すると発表した。Barrettは、アパレルや靴などのブランドの物流を請け負っている。

発表によると、従来の物流施設の自動化システムは一つの施設の中で動くことを前提にしていた。UNIT AIのソフトは複数の施設をつなぎ、各拠点への在庫配置、出荷作業の割り振り、全拠点の在庫の把握、返品の分散処理を受け持つ。UNIT AIはこのソフトを、初期投資を抑えた従量課金で提供する。UNIT AI共同創業者のAvihou Barkay氏は「第一波の自動化は、個々の施設を効率化するものだった」と話す。

出典 PR Newswire / 2026.10.01

物流施設内の自動コンベアシステムを確認するオペレーター
Photo: Unsplash
04

安全規格人とロボット米国

A3 — 移動ロボット安全規格の第3部を発行し、ユーザー企業の運用責任を定める

米国の自動化業界団体A3は10月2日、産業用移動ロボットの米国国家規格「ANSI/A3 R15.08」の第3部を発行した。ロボット本体を扱う第1部、システムを扱う第2部に続くもので、これで3部構成がそろった。

第3部が対象とするのは、ロボットを導入して使うユーザー企業だ。日々の運用から設備のライフサイクル全体まで、リスクを許容範囲に収めることを求めている。そのために、リスクアセスメント、手順や設備を変更する際の管理、従業員教育、定期的な点検と見直しを定めた。固定式の産業用ロボットの規格(R15.06)の第3部と内容をそろえており、固定式と移動式を同じ考え方で運用できる。

出典 Robotics & Automation News / 2026.10.02

黒い背景の前に立つ白いヒューマノイドロボット
Photo: Unsplash
05

市場統計ヒューマノイド米国/中国

IDC — 2026年上半期のヒューマノイド世界出荷は約2万5,000台、前年同期の5倍超に

米調査会社IDCによると、2026年上半期のヒューマノイドロボットの世界出荷台数は約2万5,000台で、前年同期比432.1%増だった。首位は中国Agibotで、8,600台超を出荷し、シェアは約35%に上る。同社の累計生産台数は9月に2万台に達した。

IDCは、用途が工場、小売、物流、観光、家庭へと広がっているとみる。競争では、ハードウェアの性能に加えて、周囲の状況を理解し作業手順を組み立てる能力が問われるようになっているという。2030年の世界出荷は75万台を超えると予測している。

出典 Robotics & Automation News / 2026.10.02

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