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Warehouse Tech Weekly
VOL. 24 2026.10.11

世界の物流施設テック 週次ニュース

Global Warehouse & Logistics Tech Digest

対象期間 2026年10月4日〜10月10日 Written by Tomo Miyata

今週は2つのテーマで5本を選んだ。機械と人に作業を指示するソフトと、AIにどこまで判断を任せるかの決め方だ。

ハイライトに選んだのは、物流施設でのAI活用を調べた、Logistics Replyの調査だ。同社はイタリアのReplyグループに属し、施設の在庫と出荷を管理するソフトを手がけている。AIが在庫管理、基幹業務、輸配送、労務、自動化設備といった複数のシステムに、まとめて作業を指示していると答えた回答者は1%だった。運用上の判断をAIが自律的に下していると答えた回答者は2.5%だった。

調査は、在庫不足、人手不足、設備故障などの混乱が起きたときの対応も尋ねている。たとえば、入荷が半日遅れたとする。出荷の順番を入れ替えるか、人員を組み替えるか、そのまま待つか。その調整を、AIと人がどう分担しているかを聞いたものだ。「AIが問題を知らせ、人が手作業で調整する」という回答が47.5%だった。「AIが次の対応を提案し、人が最終判断をする」という回答も47.5%だった。「AIがシステムをまたいで対応を自動で調整する」という回答は3.8%だった。

AIに与える権限の決め方を、枠組みとして示す企業も出てきた。Logistics Replyは、AIに与える権限を、通知、提案、実行、連携、統制下の自律の5段階に分け、作業ごとに決める枠組みを発表した。AIが実行できることと、実行してよいことは別であり、実績が積み上がるにつれて権限を広げるという考え方だ。物流分野の分析メディアLogistics Viewpointsは、AIのモデルは入れ替わりやすく、差がつくのは権限、承認、AIが行った操作の記録、基幹業務への接続だと論じる。

機械を増やしてきた企業の例が、米小売大手ウォルマートだ。同社は米国内の約200の物流施設で自動化を進めている。段ボール箱から商品を1個ずつ取り出す作業は、方法を見つけるまでに数年かかった。その作業を担う車輪式のロボットは、現在、十数か所の施設に設置している段階だ。商品を運ぶ小型ロボットは故障が多く、1台の停止が次々に広がった。自動化した食品の施設では、電気代が繁忙期に月80万ドルを超えることがある。人手中心の運営では約25万ドルだった。

荷物の仕分けロボットを手がける米Plus One Roboticsの最高経営責任者、Erik Nieves氏は、判断が必要な例外は今後も人が受け持つべきだと述べる。同氏は、ロボットが例外を自分で解決する割合が増え、1人の監督者が見るロボットの台数が増えると見ている。

ロボット本体は、サービスとして借りる形も含め、今後も導入しやすくなると私は考えている。そうなると差がつくのは、メーカーの違う機械と人の双方に、一つのソフトが作業の順番と搬送先を指示できるかどうかだ。加えて、ロボットやAIに任せる判断と人が下す判断の境目を、施設を運営する企業が決めているかどうかも差になる。

機械と人に指示を出す仕組みがないまま機械だけを増やすと、機械の間で荷物が待たされ、設備が止まる回数が増えかねない。ウォルマートでは、小型ロボットの停止が連鎖し、運用に支障が出た。GROUNDのGWESは、物流施設の機械と人に作業を指示するソフトだ。この指示を最初から中核機能として設計しており、他社のソフトを後から組み合わせた構成ではない。日本の物流施設は、人手不足が深刻で、多品種の荷物が混ざって流れる。機械と人にまとめて指示を出す仕組みがあるかどうかで、生産性に差がつくと考えている。

GROUND Inc. — Founder & CEO 宮田 啓友

今週のニュース

Five stories
01 Lead story
パレットが並ぶ物流施設内を走行するフォークリフト
物流施設内で荷物を運ぶ車両(イメージ)。Photo: Unsplash

AI活用調査作業指示ベンダー調査

Logistics Reply — 在庫管理から自動化設備まで、AIがまとめて作業を指示している回答者は1%、自律判断は2.5%

イタリアのReplyグループに属し、施設の在庫と出荷を管理するソフトを手がけるLogistics Replyは10月9日、物流施設でのAI活用調査の結果を発表した。対象は、小売、食品・飲料、製造、3PL、自動車などの物流・サプライチェーン責任者だ。回答者数は発表に示されていない。AIを検討中の回答者が27.9%、1〜2工程で試行中の回答者が19.2%で、合わせて約半数が検討・試行の段階にある。AIを使っていない回答者は23.1%、施設の業務の大半にAIを組み込んでいる回答者は10.6%だった。

AIの現在の用途として、レポートやダッシュボードの作成を挙げた回答者は31.3%だった。運用上の判断を自律的に下していると答えた回答者は2.5%だった。在庫不足、人手不足、設備故障などの混乱が起きたときの対応も尋ねている。「AIが問題を知らせ、人が手作業で調整する」という回答は47.5%、「AIが次の対応を提案し、人が最終判断をする」という回答も47.5%だった。「AIがシステムをまたいで対応を自動で調整する」という回答は3.8%だった。AIの提案を実行前に確認する回答者は82.4%、確認せずに動かせるほど信頼している回答者は5%だった。

AIが数個のシステムと連携して作業を調整しているという回答は58%、単一のアプリケーション内にとどまるという回答は35%だった。WMS(施設の在庫と出荷を管理するソフト)、基幹業務のERP、輸配送管理のTMS、労務、自動化設備をまとめて指示しているという回答は1%だった。今後求める機能の上位は、最適な作業の提案(23%)と、複数のシステムをまたいだ作業の指示(22%)だった。AI活用の障害として挙がったのは、上位から予算(25%)、データの質(22.1%)だった。同社のプリセールス・ソリューションコンサルティング担当ディレクター、Michelle Jones氏は、AIの役割を、情報の提示から、提案、調整、作業の指示へと広げることが次の課題だと話す。

出典 American Journal of Transportation(Logistics Reply発表) / 2026.10.09

自動化機器が並ぶ大規模な物流施設の内部
Photo: Unsplash
02

自動化の課題運用コスト米国

ウォルマート — 米国約200施設の自動化が難航、電気代は繁忙期に月80万ドル超

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは10月、米小売大手ウォルマートが約200ある米国内の物流施設で進めている自動化が、技術と費用の両面で難航していると報じた。これらの施設で働く従業員は14万人を超える。米国事業の物流を統括するRob Montgomery氏は、現在の状況を「複雑さのピークにある」と表現し、施設を止めずに設備を入れ替える難しさを挙げた。

難航している工程の一つが、段ボール箱から商品を1個ずつ取り出して出荷する作業だ。ウォルマートは解決策を探すのに数年かけ、現在は、動作センサーと障害物センサーを備えた車輪式の小型ロボットを、十数か所の施設に設置している。従来の段ボール箱は自動化設備には大きすぎたため、より短い箱に替え、テープで封をする必要が生じた。これとは別に、商品を運ぶ小型ロボットは運用に支障が出るほど頻繁に故障し、粉じんがたまるといった原因でも止まって、連鎖的な停止を招いた。犬用フードの大袋のような大きな商品は、人手で扱っている。

自動化した食品の施設では、電気代が繁忙期に月80万ドルを超えることがある。人手中心の運営では約25万ドルだった。常温商品の主な提携先は、ウォルマートが12.6%出資する米Symbotic(物流施設向けの自動化設備を手がける)だが、Symboticは処理能力の目標達成に苦戦している。ウォルマートは、オンライン注文の商品を店舗内で集める作業の自動化に、2016年以降、約10億ドルを投じた。2023年に4億ドルで買収したロボット企業の米Alert Innovationは、2億ドルでSymboticに売却している。Symboticが店舗向けの実用的なシステムを提供できる時期は、2028年と見込まれている。ウォルマートは、自動化への支出が2026年と2027年にピークを迎えるとみており、Montgomery氏は「完璧になるのを待っていては、時間がかかりすぎる」と話す。

出典 Quartz(ウォール・ストリート・ジャーナル報道の紹介) / 2026.10.09

黒い背景の前に立つ白いヒューマノイドロボット
Photo: Unsplash
03

AIエージェント権限管理作業指示

Logistics Reply — AIに与える権限を5段階に分け、作業ごとに任せる範囲を決める枠組みを発表

Logistics Replyは10月5日、物流施設の作業で、AIエージェント(自律的に作業を進めるAI)に与える権限の決め方を示す「LEA AIエージェント権限モデル」を発表した。LEAは、同社の物流施設向けの実行基盤である。組織のAI習熟度(4段階)と、作業ごとの権限(5段階)の二つで、AIに任せる範囲を決める。権限の5段階は、通知、提案、実行、連携、統制下の自律だ。同社は、AIが実行できることと、実行してよいことは別であり、実績と信頼が積み上がるにつれて権限を広げるとしている。

同社は同日、LEAのAI機能「Dynamic Intelligence」で、追加開発なしで使える5種類のAIエージェントの提供を始めた。うち3種類は次のとおりだ。1つは、欠品の原因を調べ、実際の欠品と一時的な問題を見分ける。1つは、作業量の偏りを見つけ、締め切りに間に合うよう人員の配置換えを提案する。1つは、出荷頻度による商品の格付け(ABC分類)を出荷データから再計算する。再計算した結果は、人が承認すると、WMSの商品マスタに書き戻される。

残る2種類のうち1つは、トラックの接車口(ドック)の予約を、会話形式で受け付ける。もう1つは、作業が遅れたときにカメラの映像から原因を調べ、搬送ロボットの進路をふさぐ荷物なども見つける。各エージェントは、作業ごとに異なる権限と人の監督のもとで動く。

出典 Business Wire(Logistics Reply発表) / 2026.10.05

物流施設内の自動コンベアシステムを確認するオペレーター
Photo: Unsplash
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AIの運用設計統制作業指示

Logistics Viewpoints — AIの成果は、モデルより周辺の運用の仕組みで決まるとする論考

物流分野の分析メディアLogistics Viewpointsは10月5日、AIを実際の業務で成果につなげるには、AIのモデルより周辺の仕組みが重要だとする論考を掲載した。AIのモデルは、AIを構成する要素のうち最も入れ替わりやすくなっているという。持続的な優位は、信頼できる業務データ、権限を管理したシステム操作、承認の仕組み、AIの操作の記録、基幹業務への接続から生まれると主張する。

AIが出荷の作成、注文の変更、運送会社への連絡、在庫の引き当て、例外の承認までできるようになった時点で、統制は運用上の必須条件になるという。権限の範囲、金額の上限、承認、再実行、取り消しの仕組みが、デモと実運用を分けるとする。古い情報や不完全な情報をもとに、AIがもっともらしい答えを返すことも危険だと指摘する。

成果の測り方については、AIの回答の流暢さではなく、業務の実績を測るべきだとする。具体的には、判断にかかる時間、状況把握にかける手作業の量、人が上書きした頻度、エラーからの回復にかかる時間、システム操作の失敗率、改善したい業務の成果指標だ。この測定が、実績に応じて自律の範囲を広げる根拠になるという。論考は、新たな調査データを示していない。

出典 Logistics Viewpoints / 2026.10.05

コンベア上を流れる段ボール箱
Photo: Unsplash
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人の監督ヒューマノイド米国

Plus One Robotics — 最高経営責任者が、人型ロボットが普及しても人の監督は必要と主張

荷物の仕分けなどのロボット自動化を手がける米Plus One Roboticsの最高経営責任者、Erik Nieves氏は、Robotics & Automation Newsのインタビューで述べた。ロボットが通常の作業を担い、判断が必要な例外は人が受け持つ体制を、今後も続けるべきだという。同社の調査では、米国人の26%が、人型ロボット(ヒューマノイド)の最大の懸念に「人の判断の欠如」を挙げた。ロボットに任せるのが不安な作業がある、と答えた人の約58%は、訓練を受けた人が監視し、必要なら介入できれば安心できると答えた。

Nieves氏は、大量のデータで学習した汎用のAI(基盤モデル)が短くするのは、ロボットの導入や配置替えにかかる時間だと指摘する。ロボットの動作が速くなるわけではないという。小包の投入やパレットからの荷下ろしのように処理量の多い作業では、専用設備のほうが速く、安く、保守しやすいという見方だ。ヒューマノイドが向くのは、作業内容が頻繁に変わり、量が少なく、施設を機械に合わせて作り替えられない場合だとする。

5年後も、専用の自動化設備が作業の大半を担うと同氏はみる。変化が大きいのは、ロボットが例外を自分で解決する割合が増え、1人の監督者が見るロボットの台数が増えることだという。

出典 Robotics & Automation News / 2026.10.07

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