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導入事例:棚搬送型ロボット『Ranger™ GTP』

GROUNDのノウハウと技術力でロボットを活用した作業効率化を実現

トラスコ中山株式会社 様

機械工具卸売商社として、プロツール(工場用副資材)の卸売業および自社ブランドTRUSCOの企画・開発を行うトラスコ中山株式会社様は、物流DXのリーディングカンパニーとしてさまざまな物流改革に取り組んでいます。2018年10月1日、同社最大級の在庫数を誇り、高密度収納・高効率出荷を実現した物流拠点「プラネット埼玉 物流センター」(以下、プラネット埼玉)の稼働を開始しました。プラネット埼玉には、自動倉庫をはじめ、さまざまなテクノロジーやマテハンが採用されており、棚搬送型ロボット『Ranger(レンジャー)™ GTP(ジーティーピー)』も導入されています。

今回、世界初の運用形式で稼働した『Ranger™ GTP』について、採用の理由や導入効果などについて、プラネット埼玉構築プロジェクトリーダーを務められたトラスコ中山株式会社 物流改革部 ロジプラットフォーム開発室 室長の橋口 慎太郎氏にお話を伺いました。

※メーカーによる製品名変更に伴い、『Butler』から『Ranger™ GTP』へロボット名称を変更しています。

<『Ranger™ GTP』導入概要>

導入企業 トラスコ中山株式会社 様
業種 機械工具卸売商社
導入ロボット 『Ranger™ GTP』
導入時期 2019年10月1日(本稼働)
導入台数 73台
導入場所 プラネット埼玉 物流センター(埼玉県幸手市)

<『Ranger™ GTP』導入前と導入後の比較>

  • 導入前

    • ・膨大な商品在庫の保管効率向上を考える必要があった
    • ・人海戦術によるピックアップ作業
    • ・ロボットを提供するだけでなく、物流オペレーションの改善や導入〜運用までをワンストップでサポートしてくれるパートナーがいない
    • ・当社の強みである物流力を発揮することと、物流オペレーションの複雑化は表裏一体
  • 導入後

    • ・『Ranger™ GTP』が商品在庫の保管効率向上に寄与
    • ・ピックアップ作業の一部を自動化し、作業効率を向上
    • ・GROUNDがロボットをインテグレーション・運用・活用するところまでをワンストップで対応
    • ・制約や複雑なオペレーションを踏まえ、求められる生産性を実現

<お話を伺ったお客様>

トラスコ中山株式会社 物流改革部 ロジプラットフォーム開発室 兼 プラネット愛知準備室 室長 橋口 慎太郎 氏

トラスコ中山株式会社

物流改革部 ロジプラットフォーム開発室 兼 プラネット愛知準備室 室長

橋口 慎太郎 氏

2017年、営業部門から物流企画課に異動。2018年10月に稼働したプラネット埼玉の立ち上げに参画し、さまざまな自動化設備導入に携わる。現在は、同社の新たな戦略である次世代物流プラットフォームの実現と、2025年4月までに稼働を予定している新物流センター「プラネット愛知」の構築のご責任者として事業を推進されていらっしゃいます。

44万点にものぼる在庫アイテム。徹底的な顧客目線に立つが故に物流が複雑化

44万点にものぼる在庫アイテム。徹底的な顧客目線に立つが故に物流が複雑化

―― 貴社の事業と物流における課題を教えてください。

橋口氏: 当社は、製造業のお客様が使うプロツールをメーカーから仕入れ、機械工具商やネット通販企業、ホームセンターなどへ販売しています。近年では、大手Eコマース(以下、EC)の売上が急拡大しています。
これまで、「物流を制する者が、商流を制す」「即納こそ最大のサービス」という全社の方針に沿って、物流の強化と、在庫の拡充に努めてきました。ここプラネット埼玉にある在庫は、現在約44万アイテム(2020年12月末時点)に達し、2023年までに50万アイテム、2030年までには全社的に100万アイテムに増やす能力目標を立てています。注文頻度の低いロングテール商品でも在庫することで、ユーザーニーズにワンストップで応えるやり方は、米Amazon社と共通すると言えるかもしれません。

私たちは、多くの物流事業での指標とされる「在庫回転率」は重視していません。それは自分たちにとって都合のよい数字に過ぎず、お客様にはメリットがないからです。代表の中山が提唱する「中山式在庫の方程式」は、徹底的な顧客目線と言い換えることができます。品揃えのいい店の方がお客様に喜ばれ、在庫を多く置くことで、商品を即納でき、お客様の利便性向上にもつながります。
トラスコ中山では、お客様が欲しいと思った時に在庫からすぐさま提供できる指標である「在庫ヒット率」を重視しています。現在、この在庫ヒット率は90%以上に達しており、今後もこの数字をさらに引き上げ、いかにスピーディに納品できるかということをKPIの一つとしているのです。

しかし、在庫を膨大に持つということは、同時に物流オペレーションがより高度かつ複雑になっていくということでもあります。例えば、配送工程一つとっても、荷姿、手段、配送先によって30パターン以上にもなるのです。商品在庫のスペースを増やすために在庫の保管効率も緻密に考える必要がありますし、保管したものをピッキングしやすくする仕組みも考えなければならない。

社会ニーズの変化に対応していくことも重要です。さまざまなネット通販企業との協業による需要増加や、業界の慢性的な配達人員不足などにより、エンドユーザー様へ直接、出荷してほしいという要望が増えています。2020年からの新型コロナウイルス感染症拡大は、さらにその動きに拍車をかけました。

ピッキング作業効率の向上と入出庫作業を支援できるソリューションとプロフェッショナルな発想を求めて

ピッキング作業効率の向上と入出庫作業を支援できるソリューションとプロフェッショナルな発想を求めて

――さまざまな物流課題があったのですね。棚搬送型ロボット『Ranger™ GTP』の導入以前に抱えていた課題があれば、具体的にお聞かせください。

橋口氏:お客様や社会のニーズに応えてきたが故に、私たちの物流オペレーションは非常に複雑化、細分化されました。それまで、当社の物流センターでは、基本的に固定された棚に在庫商品を保管し、とにかく人海戦術でピッキングするというオペレーションをとっており、一部の物流施設で自動倉庫を導入していたくらいでした。しかし、将来的にさらにアイテム数を増やしてかつ効率的に出荷をしていくためには、人手に重心を置く体制に危機感と限界を感じていました。

プラネット埼玉を新設する際には、このように複雑にからみ合った当社の物流をできるだけ全体最適、DX化していくことが重要だと考えました。そこで、自分たちの力だけではなく、物流に特化したプロフェッショナルな発想力や、今まで導入してこなかった物流ソリューションを積極的に探したのです。

特に、人海戦術をとっていたピッキング工程における作業効率を向上させるテクノロジーソリューションや商品の入出庫作業を支援する仕組み構築などは、優先順位が高かったです。

どんなに素晴らしいテクノロジーでも現場に導入し、実稼働させられなければ意味がない

どんなに素晴らしいテクノロジーでも現場に導入し、実稼働させられなければ意味がない

―― 『Ranger™ GTP』導入に至った経緯と理由を教えてください。

橋口氏:プラネット埼玉でさらに高度な自動化・省人化を目指すため、さまざまなテクノロジーリサーチをしていた時、商品が入った専用の可搬式棚を人のところまで運んでくるGoods-To-Person型(以下、GTP型)のロボットに興味を持ちました。GTP型のロボットはいくつかのメーカーで実用化されており、日本でも少しずつ導入事例が出てきていた時期でした。

その一つが当時、GROUND社が日本国内における独占販売権を有していた『Ranger™ GTP』です。GROUND社に連絡し、いろいろと話を聞いていくと、ロボットの提供に留まらず、物流事業者が有するシステムとロボットを制御するシステムを連携させるコンバーターを自社開発していたり、物流オペレーションに関する知見が深く、ロボットをインテグレーション・運用・活用させるところまでをワンストップで対応しているなど、他のベンダーさんとは一線を画していました。

ベンダーさんの中にはロボットを提供するだけというスタンスのところも少なくなく、正直、当社独自の複雑かつ高度な物流オペレーションにGTP型ロボットを適用させるのは難しいのではないかという意見もあったのですが、GROUND社は私たちの要望を深く理解した上で、しっかりと提案をしてくれたため、導入を決めました。どんなに素晴らしいテクノロジーでも現場に導入し、実稼働させられなければ意味がありません。当社独自の環境や制約に寄り添い、その中で『Ranger™ GTP』というロボットに私たちが求める生産性にコミットしてきちんと実働させてくれたことを評価しています。

※メーカーによる製品名変更に伴い、『Butler』から『Ranger™ GTP』へロボット名称を変更しています。