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【コラム】高度化する物流センター運営のカギを握るWES ~制御系と情報系の違いを解説~

目次

  • 1. はじめに
  • 2. 高度化する物流センター運営のカギを握るWES
  • 3. 制御系WESと情報系WESの違いは?
  • 4. まとめ


1.はじめに

物流に対する顧客要望の多様化と高度化、それに伴う物流プロセスの複雑化が進む中で、人手不足や人件費高騰に直面する物流センターの運営における効率化・適正化は、企業にとって喫緊の課題となっています。
こうした課題を抱える企業にとって、物流現場における作業や意思決定の自動化・高精度化は、避けて通れない取り組みとなってきています。 作業の自動化にはマテハンや物流ロボットが活躍しますが、意思決定の(半)自動化や質の向上には、ソフトウェアシステムやAIの活用が欠かせません。

ほとんどの大規模センターに導入されている中核となるシステムはWMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)であり、これは入出庫や在庫の管理、帳票出力など、日々の作業を正確に進めるために重要な仕組みです。

一方、マテハンやロボットの導入が進んでいる、高度化された物流センターのオペレーションを自動化・最適化するカギとして、日本でも近年注目されているのが、WES(Warehouse Execution System:倉庫運用管理システム)です。
WESは、WMSや個別のマテハンを制御するWCS(Warehouse Control System:倉庫制御システム)を補完するシステムとして、センター内の設備制御や作業進捗などを統合的に管理することで、サービスレベルとコストの両面から、センター全体の最適運営を支援します。

WESには大きくわけて2種類があり、それぞれに異なる目的と特徴があります。一つは、コンベアやソーターなどのマテハン設備を統合的に制御することに重点を置いた「制御系」WES、もう一つは、作業進捗や在庫状況などの可視化や分析、各工程の最適運営に重点を置いた「情報系」WESです。

本コラムでは、WESの「制御系」と「情報系」の違いに焦点を当て、詳しく解説します。

2. 高度化する物流センター運営のカギを握るWES

昨今、多くの大規模物流センターでは最新の自動化設備やロボットの導入が進み、工程別・機能別・商品群別にデジタル化や自動化が進展しています。しかし、各工程や機能を制御するシステムは独立しているケースが多く、横断的にオペレーションを管理する仕組みが整っていないため、個別最適にとどまっているのが現状です。

WMSと自動化設備を連携させつつ全体最適を目指すうえでは、以下のような課題があります。

  • ・各設備の制御システムに合わせた大掛かりな改修が必要
    (導入されている設備タイプの数に比例して、改修コストも増加)
  • ・マニュアル及び自動化された各工程・機能別の稼働状況や作業進捗をリアルタイムに把握することが難しい
  • ・結果として、ボトルネックの特定や問題解決のための判断・指示を迅速かつ正確に行うことが困難で、後手後手の対応となってしまう


これらを克服するために、各種WESは以下のような特徴を持っています。

  • ・多くのマテハン機器に対応した標準インターフェースを備え、WMSとの連携を前提に設計されているため、個別インターフェース開発やWMS側の大掛かりな改修などが不要になる場合が多い(改修コスト削減)
  • ・各工程・機能別のデータを集約したうえで、センター内の作業をリアルタイムで可視化し、分析環境を提供することが可能
  • ・可視化・分析したデータを基に、ボトルネック工程の洗い出しや問題解決・オペレーション最適化のための意思決定を支援する仕組みを持つ


つまり、WESを上手に活用することで、各種設備やシステムとの連携における問題を解決し、センター全体としての運営の効率化と最適化を目指すことが可能となるのです。

3. 制御系WESと情報系WESの違いは?

制御系WESは、センター内のマテハンやロボットなどの機器を統合的に制御することに重点を置いたシステムです。出荷オーダーの情報に基づいて、動かすべき機器とその順番を計算し、その結果をもとに自動倉庫やコンベア、搬送ロボットなどの各種機器に適切な指示を与えます。これにより、工程の同期化とオペレーションの効率化を支援します。
また、機器のセンサーデータなどを取得することで、機器の稼働状況のモニタリングを可能にします。

情報系WESは、WMSや制御系WESなど様々なシステムから取り込んだ情報を集約します。一元管理情報を元にした、作業進捗や生産性・在庫状況などの可視化や分析、各工程オペレーションやリソース配置の最適化に重点を置いたシステムです。単一センターの最適運営の目的にも使用されますが、特に複数センターを統合管理し、全社レベルでの物流パフォーマンスの向上(サービスレベルの向上とコスト低減)を目指す企業において、センター横断の分析・意思決定支援プラットフォームとしての活用ケースが増えています。

  制御系WES 情報系WES
用途

様々な物流機器の統合制御

物流センターや事業管理者の意思決定支援

情報

制御系WESからWCSや物流機器へ

WMSや制御系WESから情報系WESへ

効果

工程の同期化、オペレーションの効率化

サービスレベルの向上とコスト低減

 

制御系WESと情報系WESの違いは?

4. まとめ

WESは、高度化する物流センターの運営を効率化するための強力なツールですが、制御系と情報系ではそれぞれ導入目的・用途・使用者・期待効果が異なります。 そのため、導入を検討する際には、自社の物流戦略や改革・改善方針、各物流センターの現状と課題(サービスレベル、コスト、オペレーション、設備、システム、などの観点)、それらの優先順位を総合的に考慮し、最適なシステムを選択することが重要です。

 

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「GWES」は、独自開発のAI・数理最適化アルゴリズムを適用して活用目的別に設計された様々なモジュールで構成されています(新モジュールを継続的に追加開発中)。 目的や課題の優先順位に合わせ、必要なモジュールからの段階的導入が可能です。 定量・定性効果を検証するためのトライアル(PoC)サービスもございますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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